日本酒好きなら一度は訪れたい!京都・伏見の月桂冠から始める酒蔵見学

京都・伏見の月桂冠から始める酒蔵見学

日本酒好きの方のなかには、「いつか酒蔵見学に行ってみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

今回は、酒小町メンバーで、京都・伏見にて「月桂冠(月桂冠大倉記念館)」を見学してきました。
380年以上続く月桂冠の歴史と伝統に触れ、「おいしい酒」を作り続けられる秘訣が少し見えたように感じます。

「日本三大酒どころ」の一つである伏見。日本酒をメインにした飲食店も多く、伏見の酒蔵を存分に楽しめる飲食店もあわせて堪能してきました。

月桂冠大倉記念館ってどんなところ?

新緑に包まれた十石舟乗り場

月桂冠大倉記念館は、京阪本線 中書島駅から徒歩5分の場所にあり、途中の濠川に架かる弁天橋のたもとには、十石舟が出迎えてくれます。

多くの展示品がある記念館は、入館料は600円(20歳以上)で、3種類のきき酒(試飲)付き。
車の運転などの理由でお酒が飲めない方は、きき酒の代わりにお土産がもらえます。これは嬉しいですね。

入館料と交換で、コイン3枚とクリア升を受け取りました。
(時期によっては、クリア升ではなくお猪口がもらえるのこともあるそうです)

クリア升は、後半のきき酒処で使用するとのこと。この時点からすでにワクワクします。

月桂冠クリア升01

クリア升には月桂冠のロゴ。
こちらはお土産として持ち帰れます。

月桂冠クリア升02

見学が始まったら、まずは映像で日本酒の製造過程を学びます。次に展示室では月桂冠の歴史や歩みを見学。最後にきき酒処、物販と続きます。

特別に館長から説明をいただく
※館長・立花さんに特別にご案内いただきました
※写真撮影はOK、フラッシュ撮影、動画の撮影はNGです

月桂冠の380年が詰まった展示室

月桂冠展示室

月桂冠は京都伏見に本社を置く、380年以上の歴史を持つ老舗酒造メーカーです。

11代目の当主・大倉恒吉が民間としては初めての「日本酒を科学する」研究所を設立。

「日本酒を科学する」とはどういうことなのか? 展示を見ながら紐解いていきます。

展示品の月桂冠レトロボトル

研究所を設立する前までは、杜氏や蔵人の経験と感覚を頼りに日本酒を造っていました。

そこで月桂冠が始めたのが、日本酒造りに使う麹や菌の研究です。これによって、お酒の品質も向上していき、「防腐剤なしの壜詰め(びんづめ)酒」の生産に成功。

それまでは樽酒が全盛で、樽から日本酒が量り売りされていたと聞き、びっくりしました。

先進的なアイデアで事業を拡大した大倉恒吉は、「月桂冠」の名づけの親でもあります。

月桂冠レトロボトル

写真のお猪口、少し不思議な形をしていると思いませんか?

この壜詰め酒とお猪口が開発されたのは明治時代。
鉄道の駅売り酒としても採用され、月桂冠の名が全国に知れ渡るきっかけの1つになりました。

当時の列車はかなり揺れるため、お猪口を直接置くとお酒がこぼれてしまいます。

お猪口の留め金がスタンドになり、振り子のようになることで揺れを軽減させ、揺れる列車の中でも日本酒がこぼれにくいようになっているんです。

欧風調のびん詰酒

社外のデザイナーを起用して、壜の形状やラベルのデザインを行う手法も当時ではとても珍しかったそうです。

月桂樹の葉で作られた冠=月桂冠は「勝利や栄光のシンボル」の意味もあり、「伏見の酒を日本一にしたい」という想いを込めて月桂冠と名づけられました。

全国で愛飲されるようになると……。

これまでのお酒のショーケース
月桂冠の模造品

月桂冠……ではなさそうなラベルが展示されています(市場に出回っていた偽物だそう)

こういった展示品が飾られているところに遊び心を感じます。

酒造用具の展示

伏見と月桂冠の歴史の展示室を抜けると、昔の酒造用具が展示されています。

普通のお米と酒造好適米の稲穂

普段食べているお米と、酒造好適米という日本酒を造るために作られているお米が比較して展示されています。

穂の長い束が、酒造好適米です。

酒造好適米は生産が大変だと聞いたことはありましたが、実物を見ることで、大変だといわれている理由が理解できました。

普通のお米と酒造好適米

こちらは精米歩合を比較した展示です。

いつも「精米歩合ってお米を削った方? 残ってる方?」と疑問を浮かべていましたが、実際に目にしたのでもう間違えません。

暖簾をくぐると、お待ちかねのきき酒処

きき酒処

受付で受け取ったクリア升と3枚のコインは、このきき酒処で使います(クリア升は袋付きのため、きき酒に使った後もカバンの中を守りながら持ち帰れます)

なかでも筆者がとくに気になったのがこの2つです。

アルゴ

アルゴ

「日本酒って何だか敷居が高い感じがする……」「日本酒は翌日に残ってしまうから違うのにしよう……」と思っている方に飲んでほしい!

このアルゴは名前の通り、アルコール度数5%と、一般的な日本酒の3分の1程度。

爽やかでフルーティな味わいは、日本酒が苦手だと思っている方にもおすすめです。

平日でも手軽に日本酒が楽しめますし、炭酸が苦手な方の選択肢の一つとしていかがでしょうか。

鳳麟売り場

鳳麟(ほうりん)

高級酒である鳳麟は、純米大吟醸と純米吟醸の2種類。

「鳳麟」という名前は、伝説の霊獣である鳳凰(ほうおう)と麒麟(きりん)にちなんだものです。

純米大吟醸は、ふわっと口の中に広がる上品な甘みと、奥深いふくよかな余韻が特徴です。

純米吟醸は、キレのあるすっきりとした味わい。いろんなお料理に合いそうなお味です。

入口にてみんなの素敵な笑顔を記念撮影

見学の最後には、入口にて立花さんと記念写真をパシャリ。

日本酒造りの工程や月桂冠の歴史についての丁寧な解説、 興味深い開発秘話なども交えてお話くださり、ありがとうございました!

伏見の街は、日本酒の聖地

黄桜カッパカントリー

月桂冠大倉記念館から徒歩5分ほどで黄桜記念館へ到着。驚くほど近いです。

ここでは懐かしのカッパのCMや、お酒のみならず全国のカッパについての展示もありました。

撮影NGなため、ぜひご自身の目で確かめてみてください。とにかくカッパの量が多く、圧倒されました。

道中にはおしゃれなおやつ屋さんやブリュワリーもあり、散策も楽しいですね。

おやつ屋さん(君に、あげる)
クラフトビール店

伏水酒蔵小路は日本酒とうまいもんが大集合

伏見酒蔵小路入口

せっかく伏見にまで来たので、伏見の日本酒を網羅した日本酒のテーマパークへ。

伏水酒蔵小路は9つの飲食店が1つの建物に入っており、それぞれのお店のオリジナルメニューと他店のメニューを注文できる出前メニューが置かれています。

お店のオリジナルメニューは出前することができないので、はしごして楽しみました。

十八蔵のきき酒セット

お目当ては、「酒蔵」で提供されているオリジナルメニュー「唎酒師が厳選した 十八蔵のきき酒セット」。

見た目も可愛くて、かつ18種の酒蔵のお酒を飲み比べできるという豪華なセットです。

シェアして飲むこともできるので、飲み切れるか心配な人は誰かと分けて飲んでみるのもいいですね。
※ドリンクがワンオーダー制なので、シェアして飲む場合は別のドリンクの注文が必要です。

十八蔵のきき酒セット解説

この時のラインナップはこちら。

それぞれのお酒についての説明も載っているので、飲みながら自分の好みが分析できるかも?

お料理は出前メニューから注文。

牛すじのどて煮とキムチ
温度計付きちろり

熱燗も対応してくれて、温度計を目安にちろりを保温容器から抜き取って飲みます。

城陽の酒粕ラーメン01
城陽の酒粕ラーメン02

筆者のおすすめは、飲んだ後に食べる「酒粕ラーメン」です!

酒感強め4種類、酒感優しめ4種類の計8種の酒粕から選べるラーメンで、気になった城陽の酒粕をチョイス。

時期によって酒粕のラインナップが変わるようなので、ぜひその時気になった酒粕でラーメンを楽しんでみてください。

帰りは、京阪本線 伏見桃山駅から乗車。

伏見大手筋商店街の垂れ幕

伏見大手筋商店街を抜けて駅に向かったのですが、商店街の入口に写真の垂れ幕があり伏見って本当に日本酒の聖地なんだと実感出来ました。

今回は月桂冠大倉記念館と黄桜記念館のみの見学でしたが、まだまだ気になる酒蔵がたくさんありました。

酒蔵見学で味わう、日本酒の奥深い魅力

今回が初めての酒蔵見学だった筆者。「日本酒って、こんなに奥が深いんだ…!」と、感動でいっぱいの一日を過ごしました。

酒造に使われる道具を間近で見たり、解説を聞きながら飲み比べしたり。酒蔵見学ならではの体験を通して、日本酒がもっと身近になりました。

飲んで美味しい日本酒ですが、知識を入れつつ飲むと更に味わいが深まりますね。

京都・伏見という立地は駅からのアクセスしやすく、商店街には飲食店も多くあり街散策も楽しめます。

今回紹介した2つ以外にもたくさんの酒蔵があるので、ぜひ自分の足で遊びに行って、推しの酒蔵を見つけてほしいです。

今回購入したお土産たち

今回購入したお土産たち。眺めていると、じんわりと楽しかった気持ちが浮かんできます。

写真左から、以下の順で並んでいます。
・こぼれ梅(商店街にて購入)
・カッパの徳利お猪口型箸置き(黄桜記念館にて購入)
・EXPO2025 GEKKEIKAN WORLD SAKE 【ベトナム×タイ】(月桂冠大倉記念館にて購入)

日本酒コミュニティ『酒小町』

20代から30代の「お酒の場と、交流が好き」な人たちが集まる日本酒コミュニティ『酒小町』。

「日本酒好きのあそび場」をコンセプトに、年齢も職業もバラバラの個性豊かなメンバーが混ざって乾杯する憩いの場。飲み会以外にも、日本酒について学んだり、自分たちであそびを企画したり……誰もが自分らしく楽しめるようなサードプレイスをつくっています。

『酒小町』は、毎月1日〜10日の期間にメンバー募集をしています。募集開始時にはLINEアカウントでお知らせをしているので、ぜひ登録して続報をお待ちください!

今回訪れた施設など

▼月桂冠大倉記念館
住所:京都市伏見区南浜町247番地
電話番号:075-623-2056
HP:https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/
営業時間:9:30~16:30(受付は16:00まで)
所要時間:約40分~60分

▼黄桜記念館
住所:京都市伏見区塩屋町228
電話番号:075-611-9919
HP:https://kizakura.co.jp/restaurant/country/memorial/index.html
営業時間:10:00~16:00

▼伏水酒蔵小路
住所:京都市伏見区平野町82番地2 
電話番号:075-601-2430
HP:https://fushimi-sakagura-kouji.com/
営業時間:11:00-22:00

酒小町制作メンバー

執筆:蜂野 なつ(はっち)(X / Instagram
企画:卯月 りん(XInstagramnote
編集:渡眞利 駿太(X / note
撮影:蜂野 なつ(はっち)(X / Instagram

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