自然の中で楽しむ佐久の日本酒。星野リゾート主催『軽井沢サケテラス』で、ペアリングセミナーに参加しました

2025年9月9日(火)より、軽井沢星野エリアで開催中の『軽井沢サケテラス』。
国内外に73施設を運営し、「旅を楽しくする」をテーマに掲げる星野リゾートが主催する、期間限定の日本酒イベントです。

軽井沢まで足を運び、サケテラスやペアリングセミナーを体験してきたので、その様子をお届けします!

軽井沢星野エリアで開催中の日本酒イベント『軽井沢サケテラス』

村民食堂「軽井沢サケテラス」

『軽井沢サケテラス』とは、軽井沢星野エリア内のカジュアルダイニング『村民食堂』にて開催されている日本酒イベント。

日本酒業界における秋の風物詩「ひやおろし」が解禁される9月9日(火)から10月31日(金)の期間で開催され、佐久地域(※)の13蔵が集い、日本酒の試飲や販売会を実施しています。


(※)佐久地域…長野県の東部に位置する、軽井沢町や佐久市を含む計11市町村を指す。


軽井沢サケテラスは2019年に開催して以来、コロナ禍の影響により開催を見送ってきました。
しかし、2024年12月に「伝統的な酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され日本酒文化への注目が高まっていることをきっかけに、6年ぶりに再開。

イベント開催期間中は、毎日日本酒の無料試飲が提供され、週末には酒蔵スタッフ・杜氏の方のお話を聞くこともできます。

さらに9月22日(月)、23日(火・祝)には、日本酒の基礎知識を学びながら、長野の食材を使った和食とのペアリングを体験できる「日本酒ペアリングセミナー」も開催されました。

村民食堂のロビーで、日本酒の無料試飲をしながらひと休み

軽井沢星野エリアに到着すると、豊かな自然のなかに、さまざまな飲食店やセレクトショップがズラリ。
家族連れやカップル、ワンちゃん連れの方など、たくさんのお客さんで賑わっていました。

軽井沢星野エリア「ハルニレテラス」

川の水が流れる音を聞きながら森を抜けると、サケテラスの会場『村民食堂』にたどり着きます。

村民食堂「軽井沢サケテラス」

村民食堂のロビーでは、サケテラスの開催期間中、毎日13時から16時のあいだ日本酒の無料試飲が楽しめます。
この日は芙蓉酒造・大澤酒造のふたつの酒蔵がいらっしゃっていました。

 軽井沢サケテラスでの日本酒試飲

旅の疲れを癒やしに、さっそく日本酒をいただきながらひと休み。

軽井沢サケテラスでの日本酒試飲

佐久地域の各酒蔵や日本酒について丁寧に解説された小冊子もいただきました。

軽井沢サケテラスで配布された冊子

軽井沢の中でも有数の人気スポットである星野エリアには、老若男女問わず多くの人が訪れています。

試飲コーナーでは、普段から日本酒を愛飲しているシニア層の方、「日本酒には慣れていない」という20〜30代くらいの方など、さまざま年代の方が日本酒を楽しんでいる様子が見受けられました。気に入った日本酒を見つけて、その場で購入していく人も。

日ごろ日本酒に触れる機会があまりない人でも、旅行という非日常のなかだと「ちょっと飲んでみようかな」と手に取ってみたくなるのではないでしょうか。旅先で出会った美味しいお酒は、思い出にも残りますよね。

軽井沢サケテラスでの日本酒試飲

日本一のきき酒師・由井志織さんによるペアリングセミナーで日本酒のお勉強!

今回は、村民食堂にて開催された特別イベント「日本酒ペアリングセミナー」にも参加させていただきました。

講師を務めるのは、信州の酒PR大使・由井志織さん。なんと、2013年全国きき酒選手権大会にて、個人‧団体の両部門で優勝を果たした、日本一のきき酒師です。

ゲストには芙蓉酒造 蔵元・依田昂憲さん大澤酒造 杜氏 大澤実さんが登壇されました。

オリジナルテキストと、長野の食材で日本酒を楽しみながら学ぶ

各テーブルには、由井さんお手製のオリジナルテキストが配布されました。
日本酒をはじめ、お酒と知識となると「なんだか難しそう」と思ってしまいますが、イラストや色がついていて非常に分かりやすく、抵抗なく学べます。

日本酒ペアリングセミナーでのテキスト
日本酒ペアリングセミナーでのテキスト

この日提供された日本酒は、以下の3種です。

  • よよいの酔 純米原酒生貯蔵 高原のしずく米/芙蓉酒造
  • 勢起(せき) 生酛純米長期低温熟成 金紋錦/大澤酒造
  • 亀の海 純米大吟醸 金紋錦/土屋酒造店
日本酒ペアリングセミナーの日本酒と料理

まずは、芙蓉酒造『よよいの酔』で乾杯!

おちょこを持つ手元

本イベントでは、江戸時代より伝わる伝統的な「蕎麦前」に倣って料理が提供されました。
蕎麦前とは、蕎麦が茹で上がるのを待っているあいだに、日本酒などのお酒とおつまみをいただく、粋な楽しみ方。

まずは、おつまみ5種が提供されました。

  • 信州サーモンのお造り
  • クリームチーズの味噌漬け
  • 鴨ロースと葉わさび
  • 野沢菜の漬物
  • やんば漬け
日本酒ペアリングセミナーで提供されたおつまみ5種

「信州サーモンはぜひ『亀の海』と合わせて」
「『勢起』にはクリームチーズがぴったり」

など、由井さんの解説を聞きながらペアリングを体験。
そのまま飲んでも十分に美味しい日本酒ですが、組み合わせる料理によって旨味が何倍にも増すように感じられます。

信州の酒PR大使・由井志織さん

「日本酒のラベルには、酒蔵さんのメッセージがたくさん書かれているんです」
「土屋酒造店は、吟醸酒を世に広めた走りの蔵ですよ」

といった、日本酒や酒蔵についての豆知識も。
由井さんのユーモアも含んだ解説にもあり、和やかな雰囲気でイベントが進んでいきました。

芙蓉酒造・大澤酒造の蔵元・杜氏が語る、お酒造りへのこだわり

由井さんの解説のほかに、ゲストの芙蓉酒造・依田さん、大澤酒造・大澤さんのお話もお聞きしました。

大澤酒造は熟成にこだわる酒蔵で、今回提供された『勢起』は2年熟成したお酒なのだとか。

コンセプトは「しみじみ美味い」
香りの華やかさよりも味のクリアさに重きをおいており、フレッシュな香りと古くなった香りを指す“ひね香”の中間を狙ったほどよい香りと旨味がこだわりのポイントなのだとか。

大澤酒造杜氏・大澤さん

芙蓉酒造の『よよいの酔』は、「世の中がよい感じに酔いしれる」をテーマに造ったお酒。
原料に使っている『高原のしずく米』はご飯として食べる食用米であり、お米のよさを伝えたいという想いから、あまり手を加え過ぎない純米原酒に仕上げているとのことです。

芙蓉酒造蔵元・依田さん

酒蔵さんの声を直接聞けるのも、こういったイベントに参加する醍醐味です。
それぞれの蔵のこだわりや日本酒造りにかける想いを聞きながら飲むお酒の味は格別でした。

イベント終盤は、みんなできき酒体験も!

イベントが終盤に近づくと、メイン料理の『季節の天ぷらせいろ蕎麦』が登場!

日本酒ペアリングセミナーで提供されたお蕎麦と天ぷら

きのこにかぼちゃなど、秋の味覚がふんだんに詰まったサクサクの天ぷらと、香り豊かな長野のお蕎麦。
どちらも日本酒と相性抜群で、とても贅沢な組み合わせです。

お蕎麦をいただきながら、最後に由井さんが取り出したのが「丸秘」と書かれたお酒の瓶。

最初に飲み比べをした『よよいの酔』、『勢起』、『亀の海』のうちどれかが入っている……ということで、丸秘のお酒の銘柄を当てるきき酒体験が実施されました。

丸秘のボトルを持つ由井さん

原料はお米・お水・米麹と共通なのに、蔵や造り手によって仕上がりがまったく異なるのが、日本酒の魅力のひとつ。
飲んでお酒の銘柄を当てるのは意外と難しく、みんな楽しみながらも真剣な表情で考えていました。

きき酒体験での日本酒飲み比べ
日本酒ペアリングセミナーの様子

丸秘のお酒の正体は、大澤酒造の『勢起』。
ちなみに私もしっかり正解することができ、なんだか嬉しい気持ちになりました。

勢起のボトルを掲げる由井さん

これまでにも多数の日本酒イベントに参加してきましたが、実際に料理とのペアリングを体験しつつ、これほどに「しっかり食べ飲みしながら学ぶ」という経験は、今回が初めて。

飲むだけでも学ぶだけでもない体験型のイベントで、とても贅沢かつ有意義な経験となりました。

『軽井沢サケテラス』で“食欲の秋”を楽しんでみませんか?

『軽井沢サケテラス』は10月31日(金)まで開催中。

軽井沢星野エリアでは、サケテラスのほかにも複数のショップが集まる『ハルニレテラス』や、源泉かけ流しの『星野温泉 トンボの湯』、柔らかな木漏れ日が差す『軽井沢高原教会』など、見どころが満載です!

軽井沢は、そろそろ紅葉が見頃を迎える季節。

美しい自然に囲まれながら、日本酒ともに”食欲の秋”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回取材したイベント

軽井沢サケテラス

期間:2025年9月9日(火)〜10月31日(金)
場所:軽井沢星野エリア「村民食堂」

*20歳未満の方への酒類提供はいたしません。
*車や自転車を運転される方の飲酒はご遠慮ください。

Web:https://www.hoshino-area.jp/event/saketerrace

酒小町制作メンバー

執筆・撮影:福島未貴(Xnote

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