第4回awa酒認定式&叙任式を取材しました!
2021年3月9日にGINZA SIXの観世能楽堂でおこなわれた、第4回awa酒認定式&awa酒大使叙任式に出席しました。
新規認定されたawa酒(あわさけ)と新規加入した酒蔵のご紹介、厳かで誇り高い式典の様子をお届けします。
新型コロナウイルス感染症に配慮してオンライン中継をメインに、オフラインでは人数を制限しての開催となりました。
主催団体『一般社団法人awa酒協会』とは
主催団体の一般社団法人awa酒協会は、2016年11月に9蔵の蔵元によって設立されました。
2021年3月現在、25蔵によって構成されています。
スパークリング日本酒を『awa酒』という新しいカテゴリーで展開し、シャンパンやスパークリングワインのような乾杯酒として広く普及させることを目的に活動しています。
awa酒は一般社団法人awa酒協会の商標登録です。
協会独自の認定基準をもうけ、awa酒の品質保持・向上、ブランディング、普及促進に貢献しています。
awa酒を名乗る名誉が与えられるのは、厳しい基準をクリアしたスパークリング日本酒だけです。
[awa酒の認定基準]
①米※1 、米こうじ及び水のみを使用し、日本酒であること ②国産米を100%使用し、かつ農産物検査法により3等以上に格付けされた米を原料とする ③醸造中の自然発酵による炭酸ガスのみを保有していること※2 ④外観は視覚的に透明であり、抜栓後容器に注いだ時に一筋泡を生じること ⑤アルコール度数が10℃以上であること ⑥ガス圧は20℃で3.5バール※2 (0.35メガパスカル)以上であること ⑦常温で3ヶ月以上、香味、品質が安定していること ⑧火入れ殺菌をおこなうこと ⑨炭酸ガスは、配管及び容器内のガス置換の目的で使用するものを除く ※1 純米であることや精米歩合については規定しない ※2 二次発酵についてはタンク内でも瓶内でも規定内とする |
awa酒認定式の様子
認定式では新たにawa酒に認定された酒蔵への認定証授与がおこなわれました。
黒龍酒造株式会社『ESHIKOTO AWA 2018』
黒龍酒造が製造し、株式会社石田屋が販売する『ESHIKOTO AWA 2018』。
ドライでスッキリとした味わいと華やかな泡、洗練されたボトルデザインが魅力的です。
限定醸造品であるため、口にする機会はもちろんのこと、情報もあまり出回っていない稀少
なお酒となっています。
醸造部部長であり、杜氏である畑山浩氏は「awa酒はまだまだ未知の領域への挑戦、今回の認定はその始まりに過ぎない」と語りました。
認定をゴールとせず、新たな挑戦を続けていく力強い決意が感じられます。
1804年、江戸文化元年の創業からお客様の「味わう」という体験に想いを馳せ、時代を超えて愛される日本酒を作りつづけてきた黒龍酒造だからこその説得力のある言葉でした。
黒龍酒造株式会社
株式会社石田屋(福井県吉田郡松岡町春日1-38/0776-61-3733)
三和酒造株式会社『Garyubai Sparkling Sake』
『Garyubai Sparkling Sake』は静岡県で初めてawa酒として認定されました。
重厚感とモダンさが融合したラベルと、シャンパン製法で作られた上品な味わいが特別な日の乾杯にぴったりです。
シャープできめ細やかな泡とフルーティな香りを堪能できます。
代表取締役社長の鈴木克昌氏は、協会関係者への感謝を述べたうえで「認定に恥じない立派なawa酒を作り続ける」と決意を表明されました。
酒づくりの伝統を守りながら時代の流れに対応すべく生まれた『臥龍梅』ブランドのawa酒『Garyubai Sparkling Sake』は、日本酒業界に新たな風を吹き入れます。
伊藤酒造株式会社『鈿女スパークリング AWA』
地元の氏神であり、日本最古の踊り子と言われる『天鈿女命(アマノウズメノミコト)』から名づけられた『鈿女』ブランドのawa酒です。
神秘的なブルーのボトル、しなやかに描かれた天鈿女命が幻想的な雰囲気を醸し出しています。
代表取締役社長の伊藤旬氏がまず口にしたのは、地元である四日市市への感謝です。
三重県産の原料米、水、酵母にこだわった酒づくりを貫く伊藤酒造らしいあたたかさが感じられます。
「来年はさらに進化したawa酒を作りたい」と言葉を結んだ伊藤氏からは、静かながら熱い日本酒への愛が感じられました。
新規加入した蔵の紹介
続いては新たに協会に加入した酒蔵の紹介です。
協会基準をクリアするawa酒を目指し、日々開発に努めています。
宮泉銘醸株式会社
専務取締役の宮森大和氏はオンラインでの参加。
「awa酒を作るにあたって、新しい技術を培っていく必要がある。協会の皆様、関係者の皆樣に指導を仰ぎながら頑張って行きたい」とawa酒への開発に意欲を見せました。
宮泉銘醸が仕込み水に使用しているのは、磐梯山の伏流水を汲み上げた井戸水の『宮泉』。
日本酒発祥の母とも言われる名水『宮水』に極めて近いとされる宮泉を使用したawa酒の誕生が楽しみです。
梅乃宿酒造株式会社
取締役・製造部部長の桝永剛氏は「その時代における最先端技術を重ねていくことが、やがて伝統に変わっていく。awa酒への挑戦も、強い使命感を持って取り組んでいる」と述べられました。
日本酒発祥の地とも言われる奈良県の酒蔵であり、日本酒の伝統文化の継承に対して強い使命感を持ちながらも常に新しいチャレンジを続けている梅乃宿酒造。
今でこそ珍しくない日本酒蔵による梅酒づくりも20年前にいち早く挑戦し、険しい道を切り拓いてきました。
”飲むひとをワクワクさせる新しい酒文化” を目指す梅乃宿酒造がつくるawa酒の誕生が待ち望まれます。
綾菊酒造株式会社
代表取締役の岸本健治氏は「awa酒の基準は非常に厳しい。だからこそ非常に可能性を感じている。真摯に開発に取り組み、来年は紋付袴姿で認定証を受け取りたい」と決意を新たにされました。
綾菊酒造の日本酒は、開発の手が入っていない清流として名高い『綾川』の豊富な伏流水から生まれています。
酒米は契約栽培している香川県産オオセトを基本とし、寛政2年(1790年)から長きに渡り地元の原料にこだわって酒づくりをおこなってきました。
長い歴史と伝統、郷土愛から生まれるawa酒の誕生に期待が寄せられます。
awa酒大使叙任式
認定式、新規加入蔵の紹介に続き、今年新たに設けられたawa酒大使の叙任式がおこなわれました。
世界にawa酒の認知度を広めるために選ばれたのは、フランスで活躍する名ソムリエのおふたりです。
日本酒に対する理解の深さ、世界への影響力の高さから選出されました。
グザビエ・チュイザ氏
パリの5つ星ホテル『オテル・ドゥ・クリヨン』のシェフソムリエであるグザビエ・チュイザ氏。
2017年よりフランスで開催されている日本酒コンクール『Kura Master(クラマスター)』の審査委員長も務めています。
[チュイザ氏の言葉(一部抜粋)]
初めて泡酒に出会ったときの印象を、今でもよく覚えています。
飲んだ瞬間に感じたのは、繊細な味わいと新鮮さ、そして味覚を生かす完璧でエレガントな泡でした。
そして即座にイメージしたのが、フランス料理とのペアリングです。
シャンパンに代わる可能性がありながら、新鮮で繊細な感動を与えてくれました。
これが私がawa酒を愛する理由です。
ヨーロッパの料理に合うawa酒を増やし、その魅力を世界中にPRしていきたいと考えています。
フィリップ・ジャメス氏
シャンパーニュ地方の中心地ランスのレストラン『ドメーヌ・レ・クレイエール』で18年間シェフソムリエを務めたフィリップ・ジャメス氏。
前出の『Kura Master』では、スパークリング部門の審査委員長を務めています。
[ジャメス氏の言葉(一部抜粋)]
シャンパーニュに出会い、その魅力に惚れ込んで長年研究をしてきましたが、awa酒と出会ったときにも同じような衝撃を受けました。
awa酒は奥深い可能性を秘めていると感じています。
シャンパーニュにインスピレーションを受けつつも、独自の道を信じて突き進んでいただきたいです。
私もそれに寄り添い、一緒にawa酒の可能性を追求していきたいと考えています。
協会オリジナル!awa酒専用グラス
協会オリジナルのawa酒専用グラスが発表されました。
丸みを帯びた可愛らしいフォルムと、凛とした佇まいが美しいグラスの名は『IMMERSION(イメルション)』。
これまでに数々のシャンパーニュグラスを手掛けてきたフィリップ・ジャメス氏による監修と、繊細な日本酒グラスを数多く生み出してきた木本硝子の技術によって完成しました。
フランス語で没入という意味を持ち、シャンパンでもスパークリングワインでもない、awa酒の魅力を最大限に引き出す形を実現しています。
特別ゲストはソムリエ田崎真也氏
特別ゲストとして登壇したのは、世界的にも名高いソムリエであり一般社団法人日本ソムリエ協会の会長を務める田崎真也氏。
ソムリエ協会は、日本酒の資格である『SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)』の主催団体でもあります。
[田崎氏の言葉(一部抜粋)]
awa酒に初めて出会ったのは6年前。awa酒協会が設立された年です。
微発泡ではないヨーロッパと同じガス圧基準、立ち登る一筋の泡に、これから様々な場面でawa酒が広まっていく可能性を感じました。
現在シャンパーニュを代表としたスパークリングワインは乾杯シーンで愛飲される場合が多いですが、100年前のフランスでは正式な食事の最後を飾っていたそうです。
それと同じように、awa酒も乾杯シーンだけでない幅広いペアリングが可能だと感じています。
近年では「伝統的な料理の良さをワインと違う角度で引き出す」として世界のソムリエや料理人も日本酒に理解を示し始めています。
今回のawa酒大使の叙任を機に、更に世界への認知が広がっていくでしょう。
awa酒パネルディスカッション
awa酒協会理事の永井氏、田崎真也氏、ジャメス氏によるパネルディスカッションでは、awa酒の持つ可能性について意見交換がおこなわれました。
なかでも興味深かったのはawa酒のペアリングについて。
田崎氏はフランス料理を例にあげ、「一般的にワインとのペアリングが難しいとされるオランデーソースを添えたホワイトアスパラガス、キャビアや生牡蠣などは、ワインやシャンパンとは全く違う相性の良さがある」としました。
その他にも神戸ビーフなどの霜降り肉の甘さや、フルーツや生クリームを使ったデザートなど、華やかなペアリングの提案が続々と披露されていきます。
ジャメス氏もそれに賛同する形で「awa酒のペアリングには無限の可能性がある」とし、「魚介類、甲殻類、ジビエやフルーツにも合う。それらが生でも火が通っていても」と応えました。
世界のシャンパーニュとワインを知り尽くしたおふたりのディスカッションは、awa酒の可能性、そして将来性を強く感じさせるものでした。
awa酒から広がる日本酒の可能性
発泡する日本酒でもシャンパーニュの真似事でもない『awa酒』。
この単語はいずれ世界に浸透し、乾杯シーンはもちろん、世界の食事シーンに溶け込んでいくでしょう。
厳しい基準に裏づけられた確かな品質、美しくグラスを彩る一筋の泡をぜひご体感ください。