酒粕との出会いと挑戦心が見事に重なった瞬間咲いた奇跡の花

KIKKAの商品

日本酒の副産物として生まれる奇跡の素材「酒粕」。

年間約3万トンもできる酒粕は、奥深い味わいと豊富な栄養素を含むにも関わらず、廃棄されてしまうものもあるのです。

酒粕を再生して美味しくいただき、美しく新しいライフスタイルを提案するべく生まれたのがサスティナブルなブランド『KIKKA 』。

今回は、酒粕の華やかな味わいに魅せられ、ブランドを立ち上げたデザイナーの兼重 遥さんに、お話をうかがった様子を前編・後編に渡ってお届けします。

酒粕との出会いと『KIKKA』誕生のきっかけ

————デザイナーを本業とする兼重さん。酒粕との出会いを改めてお聞かせください。

千葉県にある寒菊銘醸さんと6年ほど一緒にお仕事をしていて、酒造りを見せてもらう機会がありました。
しぼりたての酒粕を食べたときに感じた華やかな味わいといい香りは、自分が思っていた酒粕と違い、その美味しさを鮮明に覚えています。

しかし寒菊銘醸さんは、酒造りの際に大量に出る酒粕の使い道に悩んでいたんです。

そしてせっかくおいしい酒粕があるのだから、食のプロダクトとして活かせる方法はないのかを考えたことが、ブランドを始めたきっかけになりました。

普段は、企業のコンセプトからロゴやパッケージ、ウェブサイトなどを作るブランディングデザインの仕事をしています。
商品作りの段階から関わることもあり、デザインの力をもっと広く活かせると考えていくうちに、自分でブランドを作ったらどうなるのか試してみたくなりました。

美味しい酒粕との出会い、酒粕の食品ロス問題、自分自身の挑戦心が合わさり、ブランドを立ち上げてみようと決めたんです。

————寒菊銘醸さんとの出会いは?

知人の紹介で、寒菊銘醸さんのデザインを担当することになったのが出会いのきっかけです。そもそも私はお酒が飲めないんです。

デザインという接点がなければ、寒菊銘醸さんとも出会えなかったし、日本酒の世界を知ることもなかったと思います。

『KIKKA』というブランドへ込めた想い

————『KIKKA』という名前、ロゴマークに込めた想いは?

酒粕を「奇跡の恵み」だと捉えています。

日本酒の製造工程の最後に生まれる酒粕は”奇跡の素”で、それを再生させることで新しい命=”“奇跡の花(KIKKA)”を咲かせるという意味を込めました。

覚えやすく、呼びやすいような名前になったと思います。

ロゴマークは「奇跡の花を咲かせる」という意味を込めたお花のモチーフです。
麹、酒母、蒸米、水を仕込んで醪(もろみ)ができて、それを搾ることで米の粕と日本酒(=水滴)になります。
その米と水滴のかけらを花びらで表しました。

『KIKKA』の商品を試食させていただきました

————酒粕を使用した甘酒・スムージー・グラノーラを試食させていただきましたが、どれも兼重さんのおっしゃる通り、酒粕の華やかな香りとコクがあって美味しかったです。

酒粕パウダーと米糀を合わせた甘酒は、砂糖不使用なのにしっかり甘いです!
冷やしていただくと、コクはそのままにのどごしが想像以上にスッキリしています。

生酒粕と米麹で作る酒粕スムージーは、プレーン・ベリー・シトラスの3種類の味を用意しています。酒粕の味が濃厚に感じられ、半解凍でスルスル飲めます。

ベリーとシトラスの味も酒粕とマッチして、サッパリ美味しい。

気軽に手を伸ばせる飲み口がついているスパウトタイプで、忙しいときこそ自分を御自愛したくなる一品です。

酒粕パウダーをふんだんに使った酒粕グラノーラは、ザクザク香ばしいオーツ麦とごろごろナッツ、食べ応えのあるドライフルーツが絶妙にマッチ!

酒粕が得意ではない人でも違和感なく食べられる優しい味です。

誰もが「手軽に、新しく、楽しめる」商品を提案

————「甘酒、酒粕スムージー、酒粕グラノーラ、酒粕パウダー」という製品を開発しようとした決め手は?

自分のなかで「酒粕=古臭い」というイメージがあったので、対局にあるものを提案することをいちばんに考えました。

酒粕を毎日取り入れられる商品を作ろうということも決めていて「手軽に、新しく、楽しめる」ものにしたいなという想いがこもったラインナップになりました。

私自身、自分からは凝った料理をしないのですが、普段から料理をしない方でも気軽に酒粕を使えるといいいなと思っていたら、朝ご飯のようなラインナップになりました(笑)

————酒粕パウダー、とても香りがいいですね。

酒粕が得意ではない人が感じるであろう特有のくせをなくすため、アルコールを取り除いて風味を残せるかどうか調べたときに、パウダー状にすることを思いつきました。
食べてみたら、とても美味しくて。

これからは酒粕パウダーの使い方をSNSなどで発信したり、他の商品に使ったり、さまざまな面からアプローチしたいです。

————今後、作りたい商品はありますか?

実際に商品を開発して、酒粕の可能性が増えすぎて迷っています(笑)

現段階では、ジャムのようなものを作ってみようかなとは考えていて……
酒粕とレーズンを混ぜて食べたら美味しかったので「酒粕レーズンミルクジャム」みたいなものを想像しています。

そして酒粕は、お菓子系もご飯系もどちらとも合います。

酒粕クラムチャウダーみたいなスープやクリーム、チーズとも相性がいいです。
食パンに酒粕パウダーとチーズをのせて焼き、その上からハチミツをかけて食べたら美味しいのでおすすめです。

酒粕を「奇跡の花」として再び開花させ、美しくなれる習慣を誰もが手軽に取り入れられる商品を生み出した兼重さん。次回は、デザイナーならではのこだわりや開発中のリアルな想い『KIKKA』の挑戦について、赤裸々にうかがった様子をお届けします。

企画協力

KIKKA

Web:https://kikka-japan.com/
Twitter:https://twitter.com/KIKKA_japan_
Instagram:https://www.instagram.com/kikka.japan/

酒小町制作メンバー

取材・執筆:阿部 真莉映(Twitter
企画・撮影:卯月りん(TwitterInstagram
編集:うりっぽ(TwitterInstagram

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